家族のプライバシーを守るスキップフロアの家
敷地は人通りの多い表通りから少し離れた住宅地にある不整形な旗竿敷地で、南側に道路とコインパーキング、東側にはいつ建設が始まってもおかしくない空地があり、西側には3階建てのオフィスビルがありました。
施主の要望は夫婦と子供3人のための3層の住宅で、遊びから帰った子供たちが玄関から浴室へ直行できるようにして欲しいとのこと。その他は書斎や家事カウンターの要望はありましたが、基本的には自由に提案して欲しいという与条件でした。
私たちがまず考えたことは、家族の動線についてです。子供たちにとって最も良い動線は、玄関からリビングダイニングを通り、その後子供室へ到達できるルートだと考えました。さらに与条件から玄関近くにサニタリーが必要です。また、主寝室は落ち着いたエリアに配置すべきで、できればサニタリーに近いほうが良いと考えました。
それらを厳しい高さ制限の中で実現するために、1層目を半地下にしたスキップフロア形式の住宅を提案することにしました。玄関とサニタリーをGLに配置し、落ち着いて静かな半地下に主寝室や書斎を配置しました。ダイニングは玄関から半層上がった1階に置き、さらに半層上がると2階のリビングになります。ダイニングはGLから半層上がることで、1階でありながら日照の確保が可能になり、スキップ構成の断面によってダイニングとリビングを一体にすることができ、子供たちは家族の空間を通りぬけて自室へ進むことができます。
平面配置は長方形に近いハコ型のヴォリュームを敷地北側に配置し、南側に残った三角形の余剰部分を中庭とバルコニーにあてています。将来ビルも建ちうる南の駐車場や東の隣地からの視線を遮断するため、中庭やバルコニーの外側には外殻となる壁を巡らし、住空間のプライバシーを守り、さらにこの住宅の外観のデザインの特徴のひとつにもなっています。
(石川淳 / 石川直子)
【ハコノオウチ13 スキップフロアの家】
主要用途| 専用住宅
家族構成| 夫婦+子供3人
構造・構法・規模| 木造軸組構法
地下1階 地上2階
建築面積 63.67m2
延床面積 139.67m2
撮影|上田宏
設計建築家|
石川直子/石川直子建築設計事務所・アトリエきんぎょばち